すべてを洗い流して…




ゲーム最終日…天気は雨だったーー





065:雨





私は今日で死んでしまうのかな?

私は屋上で冷たい雨に打たれながら 何気なくぼんやりとそんな事を考えた。

空からはまるで 私の心の中のように 雨が降り注いでいる。








私は人を殺しました

別に言い訳するつもりはないけど

殺そうと思ってた訳じゃない

ただ、偶然に撃った弾が あなたに当たった

 

そして 目の前が 真っ赤に染まった

 

 

あなたと共に生きていたかった

殺したくなんてなかったの

銃を撃つ気もなかった

ただ、初めて見た・触れた銃を好奇心で触っていただけなの

まるで 初めて新しいおもちゃで遊ぶような子供の様に

 

それが人の命を奪ってしまうモノだと言う事も忘れて…

 

 

 

 

 

 

「…あ 、、 み、 水野?」

 

突然大きな音がして 振動が腕に伝わった

突然の事で驚いた私は床に尻餅をついた。

そして、顔を上げると目にはいったのは 苦しそうに倒れこんだ水野の姿

胸の辺りを中心に 水野の着ていた白いシャツがだんだん真っ赤に染まってゆく

 

 

私は覚った

耳にまだ残る音 手にまだ残る振動

そして 私が手にしている銃の銃口から火薬くさい煙が出ているのがなによりの証拠

 

 

 

 

「ごめっ …あ 、あたし … 違う の っ … ちがっ」

 

 

胸の鼓動が早く 、 強くなる  息ができない  震えが止まらない

激しく混乱する頭  もう何も考えられない  分からない

ただ 口から零れる ” 違う ” の一言

 

 

「い、 嫌だ、や だよ  水野 …  死んじゃっ …  死なない で、よ…」

 

 

水野の顔がだんだん青白くなっていく

涙が溢れて止まらない

 

 

 

酷い事をした 取り返しの付かない事をしてしまった

もう いくら誤ってもどうにもならない

いくら願ってもどうにもならない

 

 

 

なのにあなたは こんな醜く酷い私に また笑いかけてくれた

 

 

 

 

「…な、 くな … 小島  大丈夫 … わかってる から」

 

今にも消えてしまいそうな弱々しい声

彼をこんな風にしてしまったのは私

 

 

「ご、 ごめっ … んな さい … 水野 … 違う の  違うの…」

 

言い訳しか口に出来ない自分が嫌になる

もっと言いたい事は他にあるのに

もっと伝えたい事がいっぱいあるのに

うまく言葉に出来なくて…

 

 

握り締めているあなたの手から熱が無くなっていく

白かったあなたのシャツは血で真っ赤に染められ

私の服もあなたの血で赤く染まってゆく

 

 

 

「… ぃゃ だ よ 、 いや  お願ぃ… 死んじゃや だょ… 水 野ぉ…」

 

 

どうしてこんな事になった ?

どうして私はあんな事をしたの ?

どうして あたしは …

 

 

 

 

「 い 、 生き ろ 、 よ …  有希 」

 

 

 

それが 水野の 最後の 言葉 でした

 

 

 




あなたは 生きろ と言いました。

でも私は あなたを殺した罪を背負って生きていけないよ。

ね ぇ  水 野 。

私もそっちに逝ってしまったら 怒る ?

ねぇ…?

 

 

 

 

水野を撃ってしまった教室から離れ、

屋根の無い屋上で冷たい雨に打たれながら フェンスに寄りかかり下を見つめる。

 

 

「 此処から飛び降りたら 死ねるよね。 」

 

 

フェンスに足を掛けたけど それ以上は進めなかった。

 

『  生きろよ 有希  』

 

あなたのその言葉が そうさせてくれない。

 

 

 

 

降りしきる雨が 私の体に染み付いたあなたの血を洗い流してくれました。

こ の 雨 は  心 の 苦 し み も 洗 い 流 し て く れ ま す か ?

 

 

 

 

 

終。

 

 

 

 

*********

水有希です。一応・・・;わ〜v水有希万歳!(誰だよ;
かなーり久しぶりのお題更新。。久しぶり過ぎて自分でもビックリ; あわわ・・・;;
この後、有希ちゃんが優勝とかしちゃってたらおもしろいなぁ(何が)
愛だね!愛!!(意味不明;)
水野くん 単独では嫌いですが(ぇ;)、有希ちゃんとのペアは大好きです。






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