夏祭り



 夏祭り



「シゲちゃんおそーーーい」

、勘忍してなぁ」笑って謝ってきた。

6時の約束が、シゲちゃんが来た時には、もう7時をまわっていた。

「もぅーいいよ。それよりも早く行こう」



周りには、綿飴、ヨーヨー、林檎飴、スーパーボール、金魚すくいなどがあった。


「そうだ、遅れたバツとして、金魚取ってもらわないとね」

「何で金魚すくいなん?」

「別にいいじゃん」


シゲちゃんの腕を掴んで、金魚すくいの店まで一直線。


「おじさん、1つ頂戴」


お金をおじさんに渡し、ポイをシゲちゃんに渡した。
いきなり渡され戸惑った表情を見せる。


「せんとダメなん?」

「当然。ちゃんと取ってよ!」


入れ物を持ち、仕方なく、水槽の前にしゃがみこむ。
じっと金魚と睨めっこ。その姿が可笑しい。
私は後ろで、滅多に見れない光景を眺める。
シゲちゃんが見極めたのか、ポイポイと入れ物の中に金魚を入れていく。


「すごぉーい。私もやりたくなってきた」

「おじさん、私にも」

「できるん?」


シゲちゃんのその言葉にカッとなった。


「できるもん。シゲちゃんよりたくさん取ってみせるんだから」


水槽の前にしゃがみこんで、水にしずめた。
金魚の下に入れて、おもいきり持ち上げると、紙が水を吸収した重みと、金魚の重さで破けてしまった。
おじさんが、私にさっきシゲちゃんが取ってくれた金魚を差し出す。


「ほい、これさっき取った分ね」


立ち上がり、差し出された金魚の入っている袋を掴んだ。
そして、そのまま歩きだした。
恥ずかしくてシゲちゃんの顔が見れなかった。





シゲちゃんが呼び止めた。


「もしかして、金魚俺だけ取ったん、怒っとるん?」

「ち、違うよ」


ただ意気込んで取るって言ったのに、全然取れなかったのが恥ずかしかっただけなのに……


「シゲちゃんが謝ることじゃないよ、ありがとう、金魚2匹も取ってくれて」



「そうだっ、ねぇねぇ、シゲちゃん、金魚の名前考えよぅ?」


ポンと手をたたいて、良いことを思いついたように言ってきた。


「いきなり何やねん、

「ただなんとなく思ったの!!だから、2匹いるし、1匹づつ考えよ」



歩きながら考える。
考える、考える。
人にぶつかりそうになりながらも、考える。
ぶつかっても考える。




「あっ」

先にが思いついた。シゲちゃんは、もう?という感じだった。
は不適な笑みをうかべて、

「君の名前は今日から『しげき』ねvv」

「はぁっ?」


まぬけな声を出してしまった。


「なんで俺と同じ名前なん?」

「んー、何となく」

(もぅ、ちっとまともな答え返してくれるん思ったんやけどな……)

「安易やね」

「じゃぁー、シゲちゃんは決まったの?」


シゲちゃんは困った顔をした。
一瞬空に視線を泳がし、私の顔に目線を戻した。


…』


そう呟いた。

………………


「人の事言えないじゃない」

「しゃーないやん。それしか思いつかんかったんやから」

って、笑ってごまかした。



繋いだ手は、涼しさとかけ離れて温かく。
足取りはゆっくり。
やがて夏も終わり、明かりが消えていく。
しかし、繋いだ手の温もりは消えないでほしいと思った。






END






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主人公の名前が全然でてきませんです。
ポイってわかります?あの金魚すくいに使うやつです。それに、関西弁無理なんで。。
没にしてぇ〜!
恥ずかしぃ〜。






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