「はい、皆ー!出発するわよー」
玲さんのその声で私達を乗せたバスは動き出した。
このバスが向かっている先は地獄だという事も知らずに
私達はバスの中で騒ぎまくっていた。
「おはよ!ちゃんw旅行なんて楽しみだよなー!
監督もいいとこあるじゃんw」
バスが動き出してからすぐ、私の後ろの席に座っていた藤代誠二くんが話しかけてきた。
「おはよ☆ほんとだよねーwところでさ、誠二くん。
私達すっごいはしゃいでるけど、この旅行って何処に行くか知ってる?」
「それ、俺も思ってたんだよね。
監督に聞いても『ついてからのお楽しみよw』とか言っちゃって教えてくんないし。」
この旅行には不自然なところがある。
タダだからって浮かれてたけど、よく考えたら行き先を教えてくれないなんて不思議だよね。
まぁ、玲さんの性格から考えると分からなくもないけど、、
それにしてもホントにこのバス何処に向かってるんだろう?
「お前等、行き先も知らねぇで浮かれてたのかよ?」
ん…?この声は…
でも、まさか、有り得ないよね…?
なんて思いながら斜め後ろを振り返るとソコにはやっぱり
私が思い浮かべた人が機嫌悪そうに座っていた。
「み、三上先輩?!なんで此処に…?笠井くんまで?!」
「あれ?アンタって確か東京選抜を選ぶ時の合宿に来てたよなぁ?
何でソコで落ちた奴が此処に居るんだ?」
「ちょっと結人、そういう事いったら失礼でしょ。」
誠二くんの通路を挟んだ隣の席には武蔵森の三上先輩と笠井くんが座っていた。
でも何で?確かこれって東京選抜の旅行じゃぁ…?
「…(怒)随分な事言ってくれるじゃねぇか。まぁ、今回は許してやるよ。そこの茶髪。
俺は三上亮だ。覚えとけよ。」
「(怒)俺は若菜結人。覚えとくよ、選抜に落ちた三上亮サン。」
顔は笑っているものの冷たい空気が2人の間に流れているから
私は慌てて止めに入った。
「ちょっと!2人とも!!誠二くんも笑ってないで止めてよ!!」
その時だった。
「三上!藤代!若菜!いい加減にしないか。」
渋沢先輩の一言でバスの中は一瞬静まりかえった。流石…。
「「「スイマセンでした。」」」
渋沢先輩のおかげで静かになったところで、私は疑問に思った事を聞いてみた。
そう、何故このバスに三上先輩と笠井くんが居るのかを。
どうやら、三上先輩達は私が有希達を誘ったのと同様で
誠二くんが誘ったらしい。
人数がいっぱい居た方が楽しいだろうからって。
つまりこの旅行の参加者は、東京選抜の皆と私が誘った桜上水の有希とみゆきちゃんとシゲと
誠二くんが誘った三上先輩と笠井くんって事??
こんなに大人数で旅行なんて修学旅行みたい。
んー、なんか謎が解けたら(?)眠くなってきちゃったナァ…
フッと周りを見たら何人か寝てる。
さっきまで私と騒いでた誠二くんや結人まで。
皆 疲れてたのかなぁ?
私も もう 限界かも。。。
意識を手放す寸前 私は黒い影を見たような気がした。
それは 見てはいけなかったモノだったのかもしれない。
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